娘七種

Musume nanakusa

明和四年(1767)正月 作曲:二代目 杵屋六三郎(?)


” すずな すずしろ 芹 なづな

七種揃へて恵方へきっと直って ”



歌詞

[謡ガカリ 次第]  神と君との道すぐに 神と君との道すぐに 治まる国ぞ久しき 

〈二上り〉  若菜摘むとて 袖引き連れて 思ふ友どち好い仲好い仲  仲の好いのを傍から見れば どれが姉やら妹やら よく似たな よく似た さってもよく似た  しゃなしゃな行けば 振りもよし 今来るよねに見せうずもの 見せうずもの  袖引きひくな若き人 あら大胆な人ぢゃえ 

[鼓唄]

春は梢も一様に 梅が花咲く殿造り 目指す敵は かたきとは いいやかたへに鶯の  ホーホーホー ほうほけきゃう ほうほけきゃうと囀っても 餌ばみも知らぬくもけらけら 空うそふいて  はて 気を鎮めて打ち囃し 初若水の若菜のご祝儀 恋の仮名文いつ書き習ひ  誓文命も候べく かしくと留め袖 問うにゃ落ちいで語るに落ちる 様は茨か私ゃゆひかねて  抱いていたさよいつとても 誓文命も候べく かしくと留め袖 問うにゃ落ちいで語るに落ちる  様は茨か私ゃゆひかねて 抱いていたさよいつとても 睦まじと君は知らずや瑞籬の  久しき代々の例には 引くや 夜の鼓の拍子を揃へて 七草なづな  御形田平子仏の座 すずな すずしろ 芹 なづな 七種揃へて恵方へきっと直って  しったんしったん どんがらりどんがらり どんどんがらり どんがらり  唐土の鳥が 日本の土地へ 渡らぬ先に 

[七草合方]

怨敵退散 国土安泰 千秋楽々万歳万歳 今を盛りの心の花も 開くる開くる運は天  天長地久 万里が外も 打ち納めたる今日の七種


解説

正式には「春の調娘七種」といいます。明和7年(1767年)といいますから、今から約250年前の2世杵屋六三郎の作曲で長唄の中では古い曲に入ります。

正月7日の「なずな打ち」の行事を曽我兄弟の仇討に結びつけたものです。 「神と君との道すぐに~」と天下泰平をことほぐ謡いがかりでスタートしますが、これは昔の「神の国思想」の表れともいわれています。

ついで二上がりとなり、曽我の五郎の恋人である化粧坂(けわいざか)の少将の踊りの場面、五郎十郎が絡んでの手踊りとなります。曽我狂言の所作事とはいえ、「目指す仇は~」と「いいや、片枝に鶯の~」のごくわずかの部分に仇討狂言らしい語句があるのみです。

正月の6日には七種を農民が売りに来たり、娘たちが野山で積んできた七種をまな板の上で恵方に向かってトントンと叩く「ナズナ打ち」というのが春の行事の一つでした。 「唐土の鳥」とは、想像上の鳥のことで、お産で死んだ女の化身だといわれ、この鳥が軒下に止まらぬよう追い払うおまじないにナズナ打ちをするといういわれがありました。

また、唐土とは異国を意味するとも言われ、当時、外国からの侵略に対する人々の関心が高まってきたことを意味しているともいわれています。 作曲者の六三郎は、三人がまな板の七草をたたくところを拍子の合方として取り入れており、春にふさわしい軽快な曲といえます。


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