松の緑

Matsu no midori

安政頃 作曲:初代 杵屋六翁(四代目六三郎)


” 大夫の風の吹き通ふ ─

 ── 松の位の外八文字 ”



歌詞

〈本調子〉  今年より 千たび迎ふる春ごとに なおも深めに 松の緑か禿の名ある  二葉の色に 大夫の風の吹き通ふ 松の位の外八文字 派手を見せたる蹴出し褄  よう似た松の根上がりも 一つ囲ひの籬にもるる 廓は根引きの別世界  世々の誠と裏表 比べごしなる筒井筒 振分け髪もいつしかに  老いとなるまで末広を 開き初めたる 名こそ祝せめ


解説

嘉永5年(1852)の作品ですが、4世杵屋六三郎が、娘せいの襲名披露のために作ったご祝儀曲です。いわゆる小曲で端唄的な長唄とも称せられますが、幕末から明治にかけての当時の一つの流行でした。

将来は廓の禿が「松の位の大夫」になるように立派に成長するようにと祈ったお祝いの曲です。ここでは、廓の話を持ってきていますが、当時はこうした例えというものが歓迎されたようで、したがって曲そのものは艶っぽい中身となっています。

「松の位の外八文字~」とは、お茶屋からの呼び出しで座敷に出かける太夫の花魁道中での太夫の歩き方を示しており、関西では内八文字であるのに対抗したものだとされています。 「世々の誠と表裏~」というのは、禿のころからここで育つと世間の誠が嘘になるという意味で、「さとは、根引きの別世界」とは廓には身請けという別な世界があるということを示しています。

長唄としては短い曲ですが、お祝いの曲として、また技量を発揮できるということで人気の絶えない曲です。


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