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鞍馬山

Kuramayama

安政三年(1856)十一月 作詞:三代目 瀬川如皐 作曲:二代目 杵屋勝三郎


” 天狗礫のばらばらと ─

 ─ 鳴動なしてすさまじし ”



歌詞

〈本調子〉  それ月も鞍馬の影うとく 木の葉おどしの小夜あらし ものさわがしや貴船川  天狗倒しのおびただしく 魔界のちまたぞ恐ろしき  ここに源家の正統たる 牛若丸は父の仇 平家を一太刀恨みんと  夜毎詣づる多聞天 祈念の疲れ岩角に 暫しまどろむ 肱まくら  [セリ合方]

思ひ出せば 我いまだ三歳の時なりしが 母常磐が懐に抱へられ  伏見の里にて宗清が 情によりて命助かり  出家をせよと当山の東光坊に預けられしも 算へてみれば一と昔  十余年の星霜経れど 稚心に忘れずして 今 まのあたり見たる夢 それにつけても父の仇  剣道修行なすと雖も 我一向の生兵法 願へば神の恵みにて 本望遂ぐる時節を待たん  イデや琢磨の修行をなさん 木太刀おっとり身がまえなす  時しも俄に風起こり 天狗礫のばらばらと 鳴動なしてすさまじし  遙の杉の梢より またもや怪しの小天狗 木太刀うち振り 立向かへば シヤ小賢しと牛若丸 つけ入る木太刀を払ひのけ  上段 下段 早速の働き 勝負いかにと霧隠れ  後ろに窺ふ僧正坊 優り劣らぬ 両人が 木太刀の音は谺して  目覚ましくもまた 勇ましし  さしもの天狗もあしらひかね 跡を晦まし失せにけり 跡をくらまし失せにけり


解説

安政3年(1856)の二世勝三郎の作曲で同時期に「船揃い」が作られています。これは、一連の義経伝説に基づくもので、義経が牛若丸といった幼少時代の話です。

関守平宗清に助けられ、鞍馬寺の東光坊預かりとなった牛若丸は、自分が源氏の御曹司であることを知り、平家打倒のため夜な夜な剣術修行に当たります。 その相手となるのが、大天狗僧正坊とその手下の木の葉天狗です。

大薩摩を多用し、極めて活劇風に仕立てられています。謡曲鞍馬天狗をベースに作られています。

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